
「シャーロック=ホームズの思い出」コナン=ドイル:作/河田智

「シャーロック=ホームズの思い出(下)」
| 投稿日 |
: 2010/02/12 17:21 |
| 投稿者 |
: 久保田r |
| 参照先 |
: |
(上)巻に引き続き、ホームズ及びワトスンの回想録といった趣の(下)巻。全11編のうち5編を収録。
(下)巻の特徴は、なんと言ってもシャーロック=ホームズの兄の登場と「最後の事件」の二つ。中でもホームズの兄の登場には、いささか驚いた。ワトスンのことについては、度々奥さんが登場するのでワトスンの人間関係といったものが伝わって来るのだが、ホームズに至っては、ごく身近な家族についての情報というのをお目にしたことがなかったので、作品の重要人物として兄が現れた時には、率直に”ホームズにお兄さんがいたんだ!”と驚いた。
ホームズの兄が登場した作品は「ギリシア語通訳」。名をマイクロフト=ホームズと言い、弟のシャーロックと並ぶ名推理の持ち主であるが、推理した事柄の裏付け作業を苦手としているため探偵を職業としていない。だが、シャーロックは兄の推理力を高く評価しており、兄弟仲は良好。タイトルの「ギリシア語通訳」事件の他に、「最後の事件」でほんの少しだけ登場する。
「最後の事件」は、文字通りシャーロック=ホームズの”最後”の事件。とはいえ、作品中には具体的な事件は登場せず、ロンドンで起こる犯罪の全てを計画し牛耳っている組織の首領との対決を描いている。組織の首領のモリアーティは、ホームズと同等の知識レベルを持つ人物で、ホームズを目の敵としており、執拗にホームズの命を狙い続ける。ホームズとワトスンは、ヨーロッパ中を旅して回り、遂に”最後”の時を迎える──。
不死身と思われたホームズの”最後”の事件なので、読み終えた後でも「まさか」という思いが強い。ひょっこり世界のどこかでまるで何年も前からそこで探偵業をしていたかのように「やぁ。ワトスン君」と涼しい顔で現れるような気がしてならない。そういった意味で、人々の記憶に鮮やかな印象を残すシャーロック=ホームズは、やはり不死身と言わざるを得ない、まさに世紀を超えた偉大な人物と言えると思う。
<収録作品>
背中のまがった男/入院患者/ギリシア語通訳/海軍条約事件/最後の事件

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